「Smart119」が実証実験を10月1日より札幌市内で開始
千葉大学発医療スタートアップ企業である株式会社Smart119は、さっぽろ連携中枢都市圏内12自治体の地域・行政課題をスタートアップとの協働により解決を目指す、国内最大級の行政オープンイノベーションプロジェクト『Local Innovation Challenge HOKKAIDO』において採択された、救急医療サービス「Smart119」(特許第6875734号)の実証実験を明日10月1日(土)から開始します。
「Smart119」は、119番通報後の救急搬送における所要時間の短縮を目的として、「電話連絡」「紙で記録」などアナログで非効率な情報伝達を排除し、「タブレット等情報端末の活用」「AIを活用した音声入力・状況判断の支援」などICT技術により、患者の収容をスムーズにし救急隊の現場活動を支援するシステムとして開発されました。現在、千葉市(千葉県)で運用されているほか、東広島市(広島県)が来年4月から導入予定です。
今回の実証実験では、採択自治体である札幌市において、開始当初から札幌市消防局東消防署救急隊5隊と札幌市内8箇所の医療機関で実際に「Smart119」を使用し、救急活動を効率化することが目標です。札幌市での実運用を視野に入れ、システムの改善点やより良い運用方法を検証します。
すでに千葉市で実績のあるシステムを基本に、いくつかの新しい試みが導入されます。これまでAndroidのみだった対応タブレット端末をiOS(iPad)にも拡大する「マルチプラットフォーム化」を実施。またこれまで医師の承認は紙への手書きサインが不可欠でしたが、コロナ禍における感染対策を考慮してデジタル化に対応した「電子署名機能」を新採用。救急車内の患者データ表示をタブレットのカメラ撮影で入力できる「OCR機能」も導入されます。
今年11月以降、タブレットだけでなくよりコンパクトなスマートフォンにもアプリケーションを対応させる「ハイブリッド化」にも取り組み、救急医療現場での機動性をさらに高めます。
本実証実験の成果指標として、救急搬入時の現場滞在時間(救急車が収容後、動かずにいる時間)をはじめとする所要時間計測や、消防局、医療機関へのアンケート調査を実施します。救急隊の業務負担やストレスを軽減する効果、言い間違い・聞き間違いの防止、画像による具体的な傷病者情報共有、医療機関の利便性向上などの要素が検証されます。
2022年に実施された山梨県『TRY! YAMANASHI! 実証実験サポート事業』では、受け入れ先医療機関確定に要する交渉時間が7割以上短縮できることが示されており、今回も「Smart119」の有効性を証明する結果が残せるものと期待しています。
実施要項
実施期間:2022年10月1日〜2023年3月末
参加機関:(消防)札幌市消防局
東救急隊5隊(東救急隊、東モエレ救急隊、栄救急隊、札苗救急隊、苗穂救急隊)
(医療機関)札幌市内複数の医療機関
・勤医協中央病院
・札幌麻生脳神経外科病院
・札幌禎心会病院
・札幌徳洲会病院
・札幌東徳洲会病院
・市立札幌病院
・天使病院
・北海道大学病院
(実施自治体)札幌市
(実施企業)株式会社Smart119