コープさっぽろにて「道内農場黄金そだち平飼い卵」を8月21日発売!
生活協同組合コープさっぽろでは、北海道の農家を応援するため、2011年に道産飼料米を与えて生産する「黄金そだちたまご」の販売を開始しました。また、アニマルウェルフェアの観点から2017年より全店で平飼いたまごの取扱いをスタートしています。
今回、その2つのカテゴリーが初めて融合した「道内農場黄金そだち平飼い卵 6個入」を2023年8月21日(月)に全道各店舗にて発売することとなりました。管理方法にこだわり、エイビアリー方式の鶏舎でアニマルウェルフェアに配慮した飼育方法で育った鶏が産んだたまごです。
商品名 | 「道内農場黄金そだち平飼い卵」 |
価格 | 298円(本体価格)、322円(税込価格) |
販売開始 | 2023年8月21日(月) |
販売数量 | 毎日1,000パック ※今後生産量を増加していく予定です |
販売店舗 | 一部店舗を除く全道各店 |
生産者 | 有限会社北海道種鶏農場 |
商品特徴
「道内農場黄金そだち平飼い卵」は、北海道産飼料用米を10%以上使用した「黄金そだち」シリーズのエイビアリー(※1)方式(多段平飼い)で飼育された平飼いたまごです。通常のケージ飼いのたまごと異なり、EU平飼い基準を採用し、競合他社と比較しても管理方法にこだわり、アニマルウェルフェアに配慮した飼育方法で管理された鶏が産んだたまごです。
※1:エイビアリーとは、止まり木を設置した休息エリア、巣箱を設置した産卵エリア、砂浴びのできる運動エリア等を備えた多段平飼い鶏舎のことで鶏の行動がより多様になるようアニマルウェルフェアに配慮して開発された飼養システムのことを指します。
■「道内農場黄金そだち平飼い卵」商品開発プロジェクトの詳細はこちらから
https://www.sapporo.coop/content/?id=3265
販売経緯
コープさっぽろは、2017年9月に全店で平飼いたまごの販売を開始しました。これは、EUでケージ飼いの鶏のたまごの販売が規制されているため、同様にアニマルウェルフェアに配慮したたまごを求める組合員の要望に応えるためです。現在、道内34軒の生産者と連携し、価格や規格を個別に設定して販売しています。アニマルウェルフェアは、家畜の快適性に配慮した飼養管理であり、平飼いは鶏の習性を尊重した飼育方法とされています。
北海道種鶏農場の川上一弘社長は、北海道で鶏卵の1割近くを生産する農場の社長であり、現在主流のケージ飼いに挑戦する理由を語っています。彼はこれまで鶏の品種改良や技術進歩を取り入れてきましたが、新たな可能性を求めてアニマルウェルフェアやケージフリーに興味を持ち、将来的な消費者の需要に対応するためにも挑戦する必要があると考えました。2008年にエンリッチドケージを導入し、その後2010年に多段式フリーレンジ方式の鶏舎を建てるなど、ケージ飼いと平飼いの中間的な設備を導入して実験し、業界全体の可能性を広げようとしています。
2015年から、小売り事業を展開している別会社のマザーズは、商品ラインナップの一環として平飼いを導入しました。最初は1,500羽でスタートし、3年後には2つ目の平飼い鶏舎を建設して4,000羽を飼育できるようになりました。一方、EUではケージ飼いが法的に禁止されているものの、実際には足並みが揃わず基準が変動しており、アメリカも州ごとに異なる規則を採用している状態でした。
この状況の中で、エイビアリー方式が提案されました。エイビアリーは多段式の平飼い方法で、3〜4階建ての構造で鶏が地面を歩き回り、垂直に移動できるようになっています。この方式は飼育する鶏の数を増やせる他、鶏の行動欲求にも応える特長がありました。多くの平飼いの方法を検討した結果、エイビアリーが最適と判断され、導入が決定されました。
ケージ飼いとエイビアリー方式の両方を実践する中で、平飼いならではの苦労や難しさが存在します。まず、管理面では、ケージ飼いでは部屋ごとに鶏が分かれており、個々の異常を素早く検知できる一方、エイビアリーでは鶏が自由に動き回るため、鶏同士がパニック状態になると重なり合って圧死する危険性があります。したがって、エイビアリーの管理は慎重に行う必要があります。
また、平飼いでは巣箱(ネスト)の中で卵を産ませることを促すため、巣外卵と呼ばれる問題が生じることがあります。鶏がネストの外で卵を産んでしまう場合、これを人手で拾わなければなりません。巣外卵は衛生的でなく、重労働を伴う作業です。例えば巣外卵率が10%ならば、1万4,000羽の鶏に対して毎日1,400個以上の卵を手作業で拾う必要があります。巣外卵率を抑えるためには育て方や設備の工夫が必要です。これらの課題が、平飼い方式に固有の難しさとなっています。
平飼い卵の価格は、単純な「高いからおいしい」「安いからどうの」という理由ではなく、飼養方法を理解して選ぶことが重要です。日本では平飼いの定義が曖昧で、EUの基準に倣い、エイビアリー方式を導入しています。この方式はEUの飼育密度や設備基準を満たし、動物愛護団体の基準もクリアしています。
また、「黄金そだち」として知られる平飼い卵には、道産米を10%以上含む飼料に加えて、亜麻仁油が与えられています。亜麻仁油には健康に良い脂肪酸が含まれており、環境に配慮して再生紙を使用した容器に詰められています。
消費者は多くの情報にアクセスできる一方で、正しい理解が難しい時代です。そのため、オープンな情報提供を通じて、組合員が理解した上で卵を選ぶことを願っています。様々な卵の選択肢を提供し、それぞれの好みに合った商品を楽しんでほしいという考えから、ケージ飼い卵や他の種類の卵も取り扱っており、エイビアリー方式も選択肢に加えたいとしています。将来的には、北海道産の子実コーンも使用した平飼い卵を提供する予定で、地元の資源を活用することを目指しています。